オリガルヒ

1990年代のロシアについて。主にオリガルヒ。時々チェチェン。まれにイラク、パレスチナ、その他紛争地。 自分はこれからどんな惨めな人生を生きていくことになるのだろう。考えている。

Friday, November 12, 2004

ロシアにおけるミドル・ネーム

私は本は学校の行き帰りにしか読まなくて、学校は月・火・水の3日間しかないので、次に"The Oligarchs"を読むのは月曜日ということに。なんとも怠惰なこと!

それはいいとして、インターネットを見ていたら、pronunciationguide.orgというとても面白いサイトがあり非常に参考になった。

4日前にアンナ・ステパノフナを例にミドル・ネームの話をしたけど、このサイトによると、一般的なロシア人のミドル・ネームというのは、父親の名前から取るものらしい。
父親の名前に、男だったらovichかevichを、女だったらovnaかevnaをつけたのがミドル・ネームになるんだそう。

アンナ・ポリトコフスカヤの場合だと、Annna Stepanovna Politkovskayaだけど、彼女の父親がステパン(Stepan)という名前だったってことだよね。
ボリス・アブラモビッチ・ベレゾフスキー、Boris Abramovich Berezovskyなら、彼の父親がアブラーム(Abram)という名前だったってこと。
だから、ボリス・アブラモビッチというのは、「アブラームの息子ボリスよ」みたいな呼びかけになるってことだ。これじゃぁ、まるで指輪物語だけど。

ただ、これは別に珍しいことじゃ全然ないよね。
例えば、~sonっていうのもそうでしょ。ジョンソンだったら、ジョンの息子って意味だし。あるいは、コリンズだったら、コリンの息子。マクラクランだったら、ラクランの息子。オニールなら、ニールの息子。フィッツジェラルドっていうのも、ジェラルドの息子ってことだし。

ただそれがロシアの場合ミドルネームに出てくるとは知らなかった。
ルシコフのミドル・ネームがミハイロビッチだということは前回にも書いたけど、その後読み進めた中に追加で出てきた分があったので、書いておく。

エリツィンが、Boris Nikolayevich Yeltsin。つまり、ニコライの息子。
チュバイスが、Anatoly Borisovich Chubais。つまり、ボリスの息子。
この辺りは、ロシゲイターの人物辞典のほうが詳しいね。

このシステムは、結構大きな意味を持ってくると思う。
例えば、ボリス・ベレゾフスキーの父親はアブラームで、だからアブラモビッチというミドル・ネームがボリス・ベレゾフスキーに与えられたわけだけど、アブラームというのがユダヤ系の名前だってことは、これ以上ないぐらい明らかなんだよね。
つまり、ボリス・ベレゾフスキーの祖父が、息子にアブラームという名前をつけたから、ボリス・ベレゾフスキーが、ボリス・アブラモビッチと呼ばれてる。

ソビエトにおいては、ユダヤ系というのは非常に差別されていて、背景知識の一つとして押さえておかなければいけないのは、ユダヤ系というのが出世ができないような社会になっていたということ。
そういう中で、このように父親の名前がミドル・ネームに使われるというやり方だと、もし誰かがユダヤ系だとしたら、そのことをとても意識せざるを得ない状況になると思う。

今回は深く触れないけど、ユダヤ系というのは、オリガルヒにまつわる結構大きなテーマの一つ。
ベレゾフスキー、ホドルコフスキー、アブラモビッチ、スモレンスキー、グシンスキー、フリードマン、アーベンなどがユダヤ系。チュバイスもユダヤ人ではないのだけど、ユダヤ系に入るとのこと。
(フリードマンとアーベンのアルファ銀行コンビなんて、二人ともユダヤ系だったんかい。)

これがどういうことを表しているのか上手く説明できないのだけど、重要な要素の一つではあるよね。
個人的には、ソビエト社会がユダヤ系を排除しようとした社会だったから、ユダヤ系はどこか別の方法を使って活躍せざるを得なくて、それがオリガルヒのような動きに結びついたんじゃないかと思っている。

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