オリガルヒ

1990年代のロシアについて。主にオリガルヒ。時々チェチェン。まれにイラク、パレスチナ、その他紛争地。 自分はこれからどんな惨めな人生を生きていくことになるのだろう。考えている。

Thursday, April 07, 2005

"Sale of the Century"到着!

先ほど、クリスチャ・フリーランドの"Sale of the Century"が届いた。

紀伊国屋の梱包は、アマゾンに負けずとも劣らずのきっちり度であった。空気が入っていてプチプチ潰せるやつ(なんていうんだっけか…、商品名が分からない)で、くるりと本が包まれていて、それはそれは素敵な梱包だった。
これなら今後も紀伊国屋で頼んでもいいね。
どうでもいいけど、この本はネットに表示されてた価格が2097円で、代引き手数料200円と送料380円の計580円(高いよねー)を足すと、2677円になるはずなのに、請求金額は2676円だった。
本といっしょに受け取った納品票を見てみたら、実際のところは本体価格が1997円で、そこに消費税の99円を足しても、本の値段は2096円ということになっていた。ここで1円の誤差が出たらしい。ブックウェブのシステムの消費税計算のところが変なんだね。

書き忘れるところだったけど、紀伊国屋は4月5日の深夜に「2~3日後に発送します」というメールをくれて、昨日も「本日発送しました。」という連絡をくれた。
そのメールには、「長期ご不在の予定がある方はメールを下されば対応します」という一文もあったりして、面倒見のよさそうな感じだった。
紀伊国屋のインターネットのシステムは低機能だけど、発送の予定が分かるという点ではアマゾンと同じだけのサービスが享受できるね。

ついでに、これはアマゾンと紀伊国屋の違いではないのだけど、配達業者に関して。
ペリカンの代引きを使うアマゾンに対して、紀伊国屋はクロネコを使っている。それで配達業者のウェブサイトに関しては、ペリカンの方が上だと感じた。ペリカンは代引きの場合、請求金額がいくらであるかをインターネット上で見ることができるの。一方でクロネコのウェブサイトは、請求金額がいくらかを書いてない。
今回は特に、前日の紀伊国屋からのメールに書いてあった「代金は2676円」と、自分で計算した金額(2677円)が合わなかったから、配達業者のサイトで請求金額を確認したかったのに、クロネコのサイトではそれができなくて少し残念だった。

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ようやく本自体について。

今回は、以前のハードカバー版よりも15ページほど分厚くなっているのだけど、その理由は第一に14章にThe Oligarchs, Capitalism and the Kremlin : The Sequelという章が足されているから。
この一章前の13章はThings Fall Apartというもので、ハードカバーのほうはここで本編が終わり、終章のConclusionに入るのだけど、ペーパーバックでは、その間に21ページからなる新しい章を足したというわけ。
この本が最初に出たのは2000年だけど、それからずいぶんと時間が経って状況が変わっているから、こうやって新しい章を足したのは賢明だと思う。ざっと見た感じでは主にホドルコフスキーのことに注目している感じの章。

あと、冒頭にポール・クレブニコフの"Godfather of the Kremlin"のように登場人物の一覧が追加されている。この部分がハードカバーの方になかったかどうか断言はできないのだけど、Amazon.comの本内部検索で見た限りでは、ハードカバーのほうにはなかった。
"Godfather of the Kremlin"では、Cast of Charactersというタイトルのもとに、全ての人物が姓の順に列挙されていたけど、"Sale of the Century"では、Dramatis Personaeという題目で、ラテン語が使われていた点も面白い。"Godfather of the Kremlin"を意識して、用語の選択をずらしたのかしら。ふふ。
さらに、"Sale of the Century"では、登場人物を単に列記するのではなく、The Young Reformers, The Party of War, The Familyなどと項目別に分けていた点が分かりやすい。オリガルヒに関しても、Alfa, Logovas/Sibneftというふうに分けられいて。

最後の目次を見てみると、この本でもバギート・アレクペロフとブラディーミル・ボグダノフのことはほとんど書かれていないみたい。この二人は本当に謎が多いね。対外的に自分をアピールしていったホドルコフスキーやベレゾフスキーの一派とは違って、アレクペロフはとにかくひっそりとやっている。アレクペロフがロシアで最も秘密のオリガルヒと称されるのも頷ける。

Acknowledgementsを読んでみたら、やっぱりデイビッド・ホフマンの名前が挙げられていた。ホフマンの"The Oligarchs"にも、クリスチャは良い旅仲間だったって絶賛されていたもんね。
"Sale of the Century"の360ページには、「デイビッド(ホフマン)は空港で落ち合うときには、分厚い資料の束を持って待ち構えていた…」と書かれていた。二人は空港で待ち合わせをしていたんだ。

さらにAcknowledgementsを読んで驚いたのは、クリスチャ・フリーランドはハーバード大学の卒業生で、ハーバード大学にはデイビス・センターという有名なロシアの研究所があって、そこには"強奪されたロシア経済"を書いたマーシャル・ゴールドマンという有名な教授がいるのだけど、クリスチャ・フリーランドとゴールドマンはどうやら知り合いのようで、マーシャル・ゴールドマンが"Sale of the Century"の原稿を読んで、間違いを指摘してくれたことに対する謝辞があったこと。
原稿に関しては、それ以外にも、デイビッド・ホフマンを初めとして、様々な人に読ませて意見を聞きまくったらしい。
ジャーナリストっていうのは人脈が命なのかしら。そんなふうにも思えてくる。この本も、"The Oligarchs"や"Godfather of the Kremlin"と同じように、様々な主要な人物(ホドルコフスキーとか、ベレゾフスキーとか)との直接のインタビューから得られた情報が中心となっている。いろいろな知り合いがいないとだめらしいね。こういう点で、良好な人間関係を築くのが苦手な私はジャーナリスト向きじゃないんだなーなんて思ってしまう。

クリスチャ・フリーランドの経歴はものすごくて、まず大学生のとき、ハーバードでロシアの研究をして、ロードス奨学金というのをもらって、オックスフォードに行って修士号を得たという。
東欧からの報道が評価されて、26歳でフィナンシャル・タイムズのモスクワ支局長になった。1995年の1月から1998年の8月まで。
その後、カナダのグローブ・アンド・メールの副編集長を務めて、今は天下のフィナンシャル・タイムズの副編集長。1968年生まれだから、まだ36か37歳だよね。
すごすぎる経歴だわ。こういうふうに生きるのもきっと楽しいんだろうなーと思う。だけど、その影ですっごく努力したんだろうなーと思う。
最近、外国の大学院に進む場合に何が必要なのか興味があっていろいろと見ているのだけど、並大抵のことじゃないようだ。特にオックスフォードみたいな名門大学に行くというのは、ちょっとやそっとじゃ絶対無理!

Notes on Sourcesのところには、「全てのロシア語から英語への翻訳はクリスチャ・フリーランド自身が行った」と書いてあった。ロシア語を普通に使えるのね。それもすばらしい。
確か、クリスチャ・フリーランドはウクライナからカナダに移民した両親の元に生まれたんじゃなかったかしら。フリーランドに関して私はストーカーしてないから、情報があやふやだけど、彼女がどこかに書いた記事の中でそういうふうに読んだ気がする。あと、フリーランドはワシントン・ポストに寄稿したこともあるらしい。ワシントン・ポストはデイビッド・ホフマンの所属しているところ。そのせいでホフマンと知り合ったのか、ホフマンとの縁から、ワシントン・ポストに寄稿することになったのかは、もうちょっと情報を追わないと分からないけど。

とにかく非常に楽しみな本。
今すぐにでも読み進めたいのだけど、さすがにポール・クレブニコフの"Godfather of the Kremlin"が途中なのにほっぽりだして読むわけにはいかない。それだけはしちゃいけないと思う。だからとにかく、クレブニコフのほうを早く読まなきゃ。
"Godfather of the Kremlin"は、ちょこちょこ読んでいて、76ページまでは読み終わった。77ページからは、第3章のTrader's Paradiseに入る。
クレブニコフの文章は、かなり難解で、分かりにくくて、そのせいで読むのに時間がかかってしまい、30分ぐらい読むとそれ以上読み続ける気力がそがれちゃうの。だけど、そんなこと言ってられないなーとは思う。最近、イギリスに留学している人の文章を読んだのだけど、とにかくリーディングが多い授業を取ると大変みたい。1週間で700ページぐらい読まなきゃいけないとか。
私、ホフマンの"The Oligarchs"の500ページを読むのですら、1ヶ月かかって、もうへとへとだったのに、あれを1週間で読んで、さらにバディム・ボルコフの"Violent Entrepreneurs"の201ページも同じ週に全部読むみたいな真似は絶対できないよー。でも、できなかったら、修士号は取れないんだよね。「できるできないという問題ではなくて、とにかくやるっきゃない!!」って感じのことが書かれていて、私は「勉強ってのはそれぐらい大変なものなのか…」なんて思ってぐったりしてしまった。
あー、ほんと、本ぐらい、さっさと読まなくては。

ところで、最近、ロシア語を勉強してみようかなーと思って、NHKのテレビのロシア語会話を見ることにした。今月から始まるロシア語会話の番組は非常に面白そう! まだ1回しか見てないけど、初回は非常に面白かった。
以前ロシア語しか書かれていない地図を買ってしまったし、ロシア人の名前が読めなくて困っているという自体は相変わらず続いているし、ロシア語が読めたらオリガルヒに関しても、エレーナ・トレグボワを初めとして、コルシャコフの本など、読める文献が格段に増えるから、是非ともロシア語は使えるようにしてみたい。
そんなわけで夢は広がるばかり。

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