オリガルヒ

1990年代のロシアについて。主にオリガルヒ。時々チェチェン。まれにイラク、パレスチナ、その他紛争地。 自分はこれからどんな惨めな人生を生きていくことになるのだろう。考えている。

Monday, May 16, 2005

最近のごたごた-"Abramovich"とフリードマンとBP

どうしようもない日々を送っている。

私が昨年の暮れに読んでいたドミニク・ミッジリーとクリス・ハッチンズの"Abramovich: The Billionaire from Nowhere"だけど、今月の3日に予定通りペーパーバックが出版された。

その情報をAmazon.co.ukで見たところ、なんとペーパーバックの表紙の写真はハードカバーと同じものが使われていることが判明。
もともとAmazon.co.ukに表示されていたペーパーバックの写真は、アブラモビッチが嫌みったらしくニヤついているようなところで(これは言い過ぎか?)、「そんなものを買うなら遥かに値段が高くてもハードカバーを買う価値があるかもー」なんて思って、高い買い物を納得させたというのに、ペーパーバックのほうにも同じ写真が使われているならペーパーバックの出版を待てばよかった。そもそもあんまり面白くない本だったし、慌てて読む必要はなかった(でも、簡単に読めたので、気分が良かったことは間違いない)。

それよりも気になってしまったのは、ペーパーバックの表紙に、'With New Explosive Chapter'という文字が入っていること!
なんとぉー!!! 増補されちゃったのか…。原版のハードカバーが昨年の10月で、それから7ヶ月しか経っていないから、特に追加する内容もないだろうと思って、安心してハードカバーを買ったのに、こちらも思いっきり見当違い。これまでの学術書と違って、暇つぶし用の本だけあって、扱いが違うのね。ふむふむ。
あーん、それにしても、ペーパーバックの値段は、ハードカバーの3分の1強だなんて…。

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ポール・クレブニコフの"Godfather of the Kremilin"は、時間を取って読み進めていて、169ページまで読み終わった。これは、第5章のリスチェフ・マーダーをちょうど読み終わったところなんだけど、こちらの本についてもできれば書いておきたいことがいっぱいあった。今は頭が混乱してるので、うまくまとめられないけれど、ちょこっとだけ触れておくと、リスチェフ殺しの犯人について。
これは、1995年の3月1日に殺されたロシアの元国有放送チャンネル1(後のORT。ベレゾフスキーが支配していたロシア最大のTVネットワーク)の実力者ブラド・リスチェフのお話。
デイビッド・ホフマンの"The Oligarchs"には、『リスチェフとベレゾフスキーは非常に仲がよく、二人は同じ側にいた。リスチェフを殺したのは、モスクワの荒くれもの』といった説明がなされていたのに対し、クレブニコフの"Godfather of the Kremlin"では、『リスチェフを殺したのはべレゾフスキーだ』と書いてあった。

これに関しては、ホフマンとクレブニコフで見解が180度違う。他の点に関しては似ているところが多いのだけど、殺人が絡んだ大きい事柄に関して、両者の間にこれほどの見解の相違があるとは思わなかった。
どちらのほうが正確かどうかは今のところ私には分からないのだけど(混乱してる)、取り合えずということで、この件は見逃せない。

ついでに、"Godfather"を読んでてふと気になったのは、ミハイル・フリードマンに関して。
「フリードマンがどうした」というわけではなくて、"Godfather"ではフリードマンの扱いがものすごく小さい。小さいどころの騒ぎじゃなくて、巻末の索引に項目出しされていないぐらい、完全に無視されていた。
アルファ・グループに関しては、アーベンのことは結構頻繁に出てくるのに、フリードマンのフの字も出てこない(全部のページを意識して確認しなおしたわけじゃないので断言はできないけど、169ページまでにフリードマンの名前は一度も出てきてないと思う)のは変だね。
ところで、アーベンはもともと、かの有名な“若き改革者たち”の一人だったらしい(チュバイスとかガイダルとかね)。政府内にいるときに規制を崩しておいて、その後、アルファ・グループに移って、自分が崩しておいた規制を使ってボロ儲けしたところが、クレブニコフはむかついていたらしい。『破廉恥にも!! どうたら~~』みたいな調子の文章が続いていた。

フリードマンの話に戻すと、クリスチャ・フリーランドの"Sale of the Century"の巻末のところで知った面白い記事がある。
2003年の10月5日にサンデー・タイムズ紙に掲載された"BP: from hate to love in Russia"というのがそれ。タイムズのウェブサイトで全文を読むことができる。
この記事はなかなかに面白くて、BPがフリードマンといかに最初は敵対しつつ、今ではよきパートナーになったかが良く分かった。
フリードマンに関してもいろいろ追ったら面白そうだな-と思う。特に、スラブネフチの売却劇などは、参考になる点が多い感じがするし。BPとチュメニが共同出資したTNK-BPの存在も興味深い。TNK-BPは最近、BPの石油生産の4分の1を担うほどになっていると記憶している。

そんなところで今回はここまで。

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