オリガルヒ

1990年代のロシアについて。主にオリガルヒ。時々チェチェン。まれにイラク、パレスチナ、その他紛争地。 自分はこれからどんな惨めな人生を生きていくことになるのだろう。考えている。

Thursday, May 19, 2005

ユコスの件

ホドルコフスキーの裁判が大詰めにきていることを書いたのだけど、裁判はまたも途中で延期になった。

この裁判の現在の段階というのは、‘判決を読んでいる最中’らしい。この裁判において、判決というのは、10秒ぐらいで簡単に言い渡せるものではないらしく、1ページ読むのに10分ぐらいかかる文章が15センチほどの厚さになったフォルダを声に出して音読することらしい(もうよくイメージできないけど!)。
だんだんはっきりしてきたのは、この裁判の判決というのは、あと何週間も何週間もかかるかもしれないということ。フォーブスが、"Khodorkovsky Verdict Could Take Weeks To Read"という記事を出している。

ホドルコフスキーの弁護を勤めているアムステルダム弁護士は「裁判の結果に世界中のメディアが注目しているうちに罪状が言い渡されることはないだろう。人々の関心が薄れたら、すぐに終わるだろうが」と言っている。この情報は、モスニューズより。

この発言を読んで、「確かにそうかもしれない」と私は思った。今は多くの人がホドルコフスキーの未来を気にしていると思うんだけど、こういう状況が10日間とか1ヶ月とか続いたら、たいていの人は興味を失っちゃう可能性が高い。

ホドルコフスキーの裁判に関しては、『プーチンは独裁に向かっている』といった文脈のなかでいろいろ批判が強いわけで、アメリカ政府のライスなどを含めて、この裁判を批判した人は多い。ロシア政府としては、ここですんなり罪状を言い渡して、メディアのヘッドラインを更に賑わせるよりも、どんどん後伸ばしにして、皆がうんざりし始めて、多くの人がこの問題を忘れたころに、こっそりホドルコフスキーを牢屋にぶち込みたいんだと思う。それが、プーチン大統領の狙いと言えると思う。
そんな狙いに対抗するためには、私は裁判のことを追い続けるしかないんだろうなーと思う。関心を失わないように。

それにしても、ロシアの司法制度というのは大統領の影響の直下にあるという感じ。三権分立という考えは機能してない模様。司法というのは完全に行政の元にある。これは行政の側にとってはとても都合の良いものだろう。この状態が変わる可能性を私は見出せないでいる。

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今日、病院に行って、50分の待ち時間の間にポール・クレブニコフの"Godfather of the Kremlin"を187ページまで読んだ。今回の分は、第6章の'Privatizing the Profits of Aeroflot'という章でエアロフロートの資金の流れをいかにしてベレゾフスキーが手中に収めたかが書かれていた。
ベレゾフスキーの言い分によれば、民営化というのには3つの段階があり、1つ目は利益の民営化であり、2つ目は株式の民営化であり、3つ目は負債の民営化となるらしい。
もはや意味不明な考えなんだけど、彼の頭の中では筋が通っているらしく、実際の民営化もこの考えのもとに行われたと言ってよい。

つまるところ、利益の民営化(=会社の利益を巻き上げる)には、その会社の株式を取得する必要はなく、会社の経営陣に自分の仲間を送り込んで、その彼らに、例えば自分のところの銀行と非常に不利な借金の契約を結んでもらえば良い。といったこと。手数料を取りまくって、利益を巻き上げるのがベレゾフスキー方式だったとのこと。

今回の話は、ベレゾフスキーの履歴で中ぐらいのところにあたる1996年とか1998年ぐらいのことが書いてあった。
彼の事業は、最初がオートバスで、その後ORTが出てきて、エアロフロートが来た後、シブネフチの民営化があって、最後にプーチンと反目して彼の資産は大爆発する。

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