オリガルヒ

1990年代のロシアについて。主にオリガルヒ。時々チェチェン。まれにイラク、パレスチナ、その他紛争地。 自分はこれからどんな惨めな人生を生きていくことになるのだろう。考えている。

Wednesday, November 24, 2004

"Godfather…"と"Abramovich"

たった今、アマゾンでポール・クレブニコフ著の"Godfather of the Kremlin"と、ドミニク・ミッジリーとクリス・ハッチンズの共著"Abramovich: The Billionaire from Nowhere"を注文してきた。
発送予定日は、12/4~12/5。合わせて4784円。卒倒しそうなぐらい高い。これでいいのかどうかよく分からない。発送は早くても12/2以降になるだろうし、それまでならキャンセルできることはできる。でもしないだろうね…。

"Godfather of the Kremlin"を買うのには何の躊躇もないんだ。このブログで何度も参照したでしょ。ここまで話題にしておいて読まないとしたら、それこそ犯罪だ。何度もAmazonの内部検索で内容を確認したし、読む価値があるはず。

一方で問題なのは"Abramovich"のほう。これは、Amazon.co.ukをつれつれ見ていたらたまたま出てきただけで、どこかで薦められた本ではない。だから保証はゼロ。Amazonのほうでは本の取り扱いそのものがないから、内部検索もできない。
気になっているのは、来年の5月に"Abramovich"の方はペーパーバック版が出ることになっている。その発売に伴って、文庫版への後書きとかが足されてたらやだなー。今高いの買って、結局内容が少ないってことだもんね。
そう、例えこの本が読むに値するとして、ハード・カバーで買う必要がある? 今は3267円だけど、ペーパーバックなら1800円ぐらいまで下がるだろうし。

でも、今すぐ読みたくなっちゃったんだなー、これが。

昨日、どんな本なのか知りたくて、あちこちの書評を見てみた。
ガーディアンテレグラフはあんまりお勧めって感じではなかった。
一方でタイムズはものすごく推してた。タイムズいわく、「"Abramovich"は、サッカー記者の多くが'こんな本を書けたら良かったのに'と思うような本だ。もし1シーズン、日々の仕事を脇に置いておけたら。」とのこと。絶賛だ。

しかし、そのタイムズですら、「この本の中で、本来無慈悲な人間(=アブラモビッチ)が、優しい人物として描かれている」と指摘している。
このことは、ガーディアンとテレグラフも指摘していた。アブラモビッチは本来オリガルヒで、悪いこといっぱいしてきたのに、それらの悪事にはほとんど触れず終わっている、と。これはオリガルヒ研究本としては致命的な欠陥だね。誰を誘拐したとか書かなきゃダメじゃん。というか、それはタイムズも言っていることか。“~サッカー記者の多くが~”と、という限定は何気に意味深い。これは、オリガルヒ研究本ではなくて、サッカー関連の本なんだ。なんと!

この本を書くにあたり、ミッジリーとハッチンズはアブラモビッチの会社のトップと話をする機会をもらったそうで、そのお返しにアブラモビッチを良い人間として描かざるを得なかったようだ。
そういう意味では、この本はアブラモビッチに関するPR本とも言える。

でも、それでもいいかなって思った。彼の生い立ちとか、私知らない点が多すぎるから、一つ本を読んでみて、流れに沿って追いかけたい。
この本で、何か革新的なことが分かるとは期待してないよ。だけど、幼いころの話はいろいろ出てくるらしいし、それは貴重だよね。
ガーディアンの書評でも、ミッジリーとハッチンズは良く調べてあると書いてあった。

あと、ペーパーバックの表紙より、ハードカバーの表紙のアブラモビッチのほうが写りがいい。それはハードカバーで買う利点と言えば利点…。

それにしても、ハードカバーで登場してから、7ヶ月でペーパーバックが発売されるのっていうのは早いほうだよね。
"The Oligarchs"は、ハードカバーが2002年の1月で、ペーパーバックが2003年の12月。"Sale of the Century"なんか、ハードカバーが2000年の5月で、ペーパーバックはまだ出てないもん。
7ヶ月ってことは文庫版に向けた追記はないかな。追記したくても、書くことないだろうし。オリガルヒに関して言えば、ガスプロムネフチの誕生やユガンスクネフチガスの売却など注目でいっぱいのこの数ヶ月だけど、この本はサッカー関連本なんだから。

まぁ、とにもかくにも到着が楽しみ。これで、来年の4月ぐらいまでは読む本に困るってことはなくなるね。4月になったら、お待ちかねの"Sale of the Century"だ。

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ところで、"The Oligarchs"を読み終わったので、予定通りアンナ・ポリトコフスカヤの"Putin's Russia"に入ったのだけど、いきなり奈落のどん底に突き落とされてしまった。
彼女がどんな記事を書くのか忘れてた。前作、"A small corner of Hell"を読んだのは9ヶ月は前だし、その後読み直すことはあっても、衝撃というのは薄れていた。

"Putin's Russia"では、チェチェンのことではなく、ロシアが抱えている悲劇を注目しているような感じ。でも、まだ分からない。読んだのは最初の5ページだけだから。
(5ページ読んだところで気後れして読むのを止めたの…)

2002年の1年間で、ロシアの軍隊では500人が、軍内部のリンチ・いじめによって命を落としたんだって。上官っていうのは、部下のお金を盗んだりするとか。
もう、「は?」って感じになって、その時点でビビりまくってしまった。ロシア軍ってそんなことになっていたの…。
この本、この後、どんなことが書いてあるのだろう。

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そんなこんなで、"Putin's Russia"。最後の追伸のところを読んでみた。
7/10がこの本の締め切りだったそうで、その前日にはクレブニコフの殺害があった。同じ日に、ウラジオストクでロシアの下院議員のチェレプコフが爆弾で命を落とした。
7/8,9,10には、銀行がつぶれるという噂で、多くの人がお金を下ろしに銀行に行った。アルファ銀行からは、72時間で2億ドルが引き出されたとか。
7/9には、プーチンの支持者のチカノフがユコス・モスクワのトップに任命された。
締め切り前の数日間にも、いろいろなことが起きている。

これに加えてポリトコフスカヤが書いているのは、ホドルコフスキーと仲間は会社をつぶさないため、ユコスの株を政府に渡そうと申し出たのに対し、その申し出は通らず、会社をつぶすという方向で話が動いていること。

ユコスの件も調べなくちゃね。

あれから、アレクペロフのことは結構調べたんだ。アレクペロフはプーチンと協調路線をとっているなんてもんじゃないことが分かった。これに関しては、またいずれ。

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