オリガルヒ

1990年代のロシアについて。主にオリガルヒ。時々チェチェン。まれにイラク、パレスチナ、その他紛争地。 自分はこれからどんな惨めな人生を生きていくことになるのだろう。考えている。

Thursday, December 23, 2004

クレムリンの大ボス、アブラモビッチ

昨日は学校までの往復の間、"Abramovich"をみっちり読んで、81ページから139ページまで読んだ。学校でも読みたかったのだけど、いつもは退屈な授業が、昨日はゲスト講演で非常に面白かったから、最後まで普通に授業を聞いて本は開かなかった。ずっと机の上に出しておいて、時おり淵を弄ぶようになぞったりはしたけれど。

なーんて書くと、普段の私の授業態度に非難が集中してしまいそうだ。でもかなり真面目な学生なんだよ。今学期は8授業を履修してて、うち3つではメモ魔になっている。ものすごい勢いでペンを走らせているんだ。1つは研究会。2つに関しては適度に気を抜いているけど、まじめに聞いている。これら6つは、もしかしたら全部Aが来るかも知れない。
一方で残った2つの授業が悲惨な状態で、出席こそは毎回欠かさずしてるけど、話は全く聞かずに別の作業をしてる。パソコンを開いたり関係ない本を読んでたり…。なんか授業の題材に興味が持てなくて。全部の授業を面白いものでまとめたいけど、それは無理だもん。
そういえば昨年の今ごろは栄光の一時を掴んでいた。10科目履修で9科目がAだったから…。あの時は良かった。このぐらいはできるのよ。与えられた情報をただ覚えるだけならできるの。私の問題は想像力のほうだから。何か一風変わった閃きを目指してるんだけど…。

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とにかく、"Abramovich"だけど、今日読んだところに書いてあった一番大事な情報は、プーチンが最初の閣僚を決める際に、アブラモビッチが面接に関わっていたこと。これは、プロローグのところにもあった情報だけど、この本の一番の目玉らしい。とにかく、「この本で初めて明かされた事実」だそうだ。

それで私は少し考えを変えたのだけど、アブラモビッチっていうのはプーチンと一心同体なんだ。これまで、私はアブラモビッチは政治には口出ししないで、プーチンと協調路線を取っていると思っていたのだけど、そうではなくて、プーチンの後ろにアブラモビッチがいるの。だから、ある意味でアブラモビッチは政治に口出しする必要がないんだ。当たり前だよね。プーチンこそがアブラモビッチなんだから。
(もちろん、アブラモビッチ本人が実際のところ、政治にあまり興味を持っていないことも明らかだけど)

これに気付かなかったのは、アブラモビッチとベレゾフスキーのつながりがとても深くて(←1994年、1995年の彼らの蜜月の時代は、無視するわけにはいかない)、ベレゾフスキーとプーチンは敵だったから、アブラモビッチはプーチンと敵対していると思い込んでいたせいだ。
でも、実際にはプーチン&アブラモビッチを一つの同盟と考えたほうが分かりやすくて、ベレゾフスキーはそこに上手く入っていけなくて、アブラモビッチから切り捨てられたような感じがする。だから、今イギリスにいると。

アブラモビッチっていうのは末恐ろしいね。なんか、特に強みがあるわけでもなさそうで、のほほんとしている感じなのに、あれよあれよという間にいろんなものを牛耳ってしまう。どんな秘密があるのだろう。
人の良さそうな感じで、古くからの知人を永遠に雇い続けているところも、やや人情派って感じなのに…。だから、2000年辺りにベレゾフスキーのことをばっさり切ったやり方がちょっとやそっとじゃ信じられないのだ。

ところで、ベレゾフスキーとプーチンの仲が決定的に悪くなったのは、2000年の原子力潜水艦クルスクの沈没事件によるそうだ。それで、そのときのことを記述するのに、このブログで数日前に名前が挙ったデイビッド・サッターの"Darkness of Dawn"からの引用があった。
"Darkness of Dawn"には、クルスクのことが書かれているのは知っていたけれど、まさか、その数日後に再開を果たすとは思わなかった。なんか運命を感じるよ。

他に面白かったのは109ページに掲載されたエレーナ・トレグボワの本からの引用。この"Abramovich"には、トレグボワの"Bayki Kremlevskogo Diggera"という本からの引用が多数されているのだけど、これは非常に面白そうな本だ。現在のところ、ロシア語のみでしか出版されていなくて、英語版も出ていないのが残念。
アブラモビッチと聞いて、トレグボワが「ベレゾフスキーのこと?」と尋ねた逸話。この会話は、クレムリンの中で行われたもので、反対側にいたのはエリツィン政権のヤストルシェムブスキー。このやり取りは1998年のもので、そのとき既にアブラモビッチはクレムリンで最高の権力を手にしていたらしい。

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その後にはアブラモビッチを崇める章が続く。第7章のA Siberian Kingdomでは、ロシアの北東の端のチュクチ州をアブラモビッチがいかに(良いほうに)変えたが書いてあった。そして、彼がどれほどいい人間かと。
ま、彼が多額のお金を寄付したのは事実だし、長い時間をチュクチ州の人々に対してささげたのも事実だ。それによる良い面は一概に否定しちゃいけないよね。

*ということで、彼がチュクチ州の知事に任命されるところまで一気に来ちゃった。ルーブル危機の話なんか、2ページ以下にまとめられていた…。

いまのところ、こんな感じ。

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