オリガルヒ

1990年代のロシアについて。主にオリガルヒ。時々チェチェン。まれにイラク、パレスチナ、その他紛争地。 自分はこれからどんな惨めな人生を生きていくことになるのだろう。考えている。

Thursday, December 23, 2004

競売-ロスネフチのご登場

昨日、"Abramovich"を結構読んでその話も書きたいのだけど(昨日の夜、下書きを書き始めたのだけど、上手くまとまらなくて途中で疲れて寝ちゃった)、とりあえず今はユコス関係のニュースについて書いておきたい。

この数日でいろんなことが判明した。
ユガンスクネフチガスの購入者はロスネフチってことになった。ロスネフチが昨日、「バイカル・フィナンス・グループの株を100%所得した」と発表している。
ついでに、ガスプロムは「オークションの直前にガスプロムネフチを売却した」としている。どこに売却したかは分からない。

ガスプロムとロスネフチの関係について書くと、この両者は来年の初めに合併する予定だった。ガスプロムを親会社にして、その下にガスプロムネフチという会社を作り(これは、2004年11月に既に設立されている)、そこにロスネフチを統合することになってた。

昨日明らかになった二つのニュースは、
1. ロスネフチは、ガスプロム傘下のガスプロムネフチに吸収される予定だった。
2. しかし、ガスプロムはガスプロムネフチを売却した。
3. よって、ロスネフチとガスプロムは無関係。
4. その後、ロスネフチがユガンスクネフチガスを買った。
5. でも、ガスプロムとユガンスクネフチガスは無関係なんだからね!!
ということにしたいのだろう。
ロスネフチを前面に出すことで、ヒューストン訴訟のガスプロムへの影響を回避する意向だ。
※ここで「無関係」といっても、両者の間の親密な関係がなくなったわけではなく、『ヒューストンの事件が解決するまでしばらく距離を置きましょう』ってことだね。

ついでに、「ロスネフチは完全な国営だから、ロシア政府の主権免除を主張できて、ヒューストンの管轄権外になる」という公算もあるようだ。

*ここで「国営」という点について書いてみると、ガスプロムもロスネフチも国営と言われるけど、ロスネフチの場合はロシア政府が株式を100%持っている完全な国営。一方で、ガスプロムの株式のうち、ロシア政府が持っているのは38%。国が筆頭株主だし、経営を実質的にコントロールしているけれど、完全な国営ではない。国営って言葉の使い方は時に曖昧で難しいなー。


まとめると、
ユコス@ヒューストンからの熾烈な攻撃を、何とか逃れようとしているガスプロム…。なかなかに興味深い。

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一つ気になるのは、なんで今になって「ガスプロムネフチをオークション前に売却したよ」みたいな報道が出てくるのか。

本当にオークション前に売却したのかな?

「オークション前に売った」という情報はフィナンシャル・タイムズの報道によるもので、それはガスプロムの発表を元にしているのだけど、今になってこういうことが後から明らかになるのは変な気がする。

特にこのフィナンシャル・タイムズのニュースの前に、インターファックスが、「ガスプロムは、ガスプロムネフチをオークションの前に売却しておくべきだった」という記事を流していることを考えると。

これは私の個人的な疑惑だけど、ガスプロムは、オークションが終わった後で、ガスプロムネフチを切り離しておく必要に気が付き、オークションの前に売ったことにしたんじゃないのかな。書類の偽造になるけど、そんなの誰も気にしないだろうから。

というのも、ガスプロムネフチの売却というのは、現在のところまだガスプロムの役員会の承認を得ていないそうなのよ。ロイターがそう伝えている。
ロイターの記事によると、ガスプロム側の言い訳としては、「役員会の承認というのは売却が終わった後から遡っても構わないことになっている」んだそうだ。

なんとなく、雲行きが怪しくなってきているね。ガスプロムは手抜かりが多そう。

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追伸
ユコスの件に関して、イギリスのインデペンデントはニュース媒体として、とても悲しいことになっている気がする。
アンドリュー・オズボーンという人がモスクワにいて、記事を多数書いてるのだけど、それが何か変なの。特に21日の「アブラモビッチが影武者らしいぞ」という記事には、少しむかついてきた。
曰く、『バイカル・フィナンス・グループが登録された住所には、ロシア革命前の3階建ての建物が建っているが、そこには携帯電話の店、旅行代理店、食品店のほかに、ロンドンという名前のバーが入っている。この事実を受けて、現在ロシアのマスコミは、バイカル・フィナンス・グループの裏にはロマン・アブラモビッチがいるという噂でもっぱらだ』という記事。記事の見出しも、"Rumours abound as mystery buyer is tracked down to 'London' bar"となっていて、「あー、とんちんかんもいいところ」って感じ。涙が出そう。別に、何を書いてくれてもいいのだけど、結構好きな新聞が、三流のタブロイド並みの記事を出してるのを見ると悲しくなる。
インデペンデントの現在のユコス関連の最新ニュースは、ガスプロムネフチの話でも、ロスネフチの話でもなく、「ボグダノフが影武者だ!」という記事で、ボグダノフがいくらお金を持っているかが書かれていたりする。
まー、独自の路線を行く勇気を持つっていうのが非常に大事なことだってのは認めるけどね。

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