オリガルヒ

1990年代のロシアについて。主にオリガルヒ。時々チェチェン。まれにイラク、パレスチナ、その他紛争地。 自分はこれからどんな惨めな人生を生きていくことになるのだろう。考えている。

Monday, December 20, 2004

ユコスの終焉

オークションの結果は、なかなかに意外なものに。バイカル・フィナンス・グループ(Baikalfinansgroup)というところが、93億5000万ドル(正確には2607億5344万7000ルーブル)で落札したとのこと。

バイカル・フィナンス・グループって何? 彼らのことは誰も知らないらしい。分かっているのは、トベーリの会社だってこと。トベーリは、人口約50万弱のモスクワから程近い街。モスクワの北西の方にある。

もう一つ、注目はガスプロムはオークションで、入札しなかったんだってさ。会場にはやってきたけど、座っていただけ(いや、実際には電話をかけに行ったとか…)。
これは、私がほんとにうっかりしてたんだけど、ガスプロムってのは現在世界最強の天然ガス会社だった。埋蔵量も生産量も世界一位だったはず。石油の生産量は大したことないんだけど、ガス会社としてはものすごいデカいの。だから、下手な真似はできないんだね。私は石油のほうからしか見てなくて、ガスプロムの天然ガス会社としての巨大さを忘れてた。
ということは、ヒューストン裁判所の裁定が、ドイツ銀行やJPモルガンにプレッシャーを与えたのと同じように、ガスプロムにも、圧力はかかってたんだよ。
ガスプロムは、ロシア国内だけで商売をしているのではなく、天然ガス販売を世界中でやっているから、アメリカの裁判所の判決というのを無視するわけにはいかないのだ。ユコスがヒューストンでやったことは、単なる嫌がらせかと思ったけど、ガスプロムに入札させないという点では効果的なものだった。実際、ガスプロムは入札しなかったから。彼らの判決がなかったら、当然入札してたでしょ。

その一方で…。
だが、このバイカル・フィナンス・グループというのを見てみると、これはガスプロムの代理をやっている可能性が高いね。ブルームズバーグのレポートの中で、アルファ・グループのアナリストのクリス・ウェーファーという人が、
『普通に考えたら、バイカル・フィナンスというのは、スルグトかガスプロムかあるいは両者の隠れみのだろうね。彼ら以外の会社はどこだって、あれだけのお金を持っていないのだから』と言っていた。

本当かな? とにかく、落札額は1兆円近いお金。それだけのお金を急に用意できる会社が、これまで無名の存在でいたなんてありえないよね。なにか裏があるに決まってる。
やっぱりガスプロムなんじゃないかな。

もしバイカル=ガスプロムだったら、ヒューストンの決定はあまり大筋で影響を与えなかったと言えるかもしれない。この辺りの分析は1週間ぐらいして、全てがもっと明らかになってからかな。

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今回の競売の持つ意味というのは、とにもかくにも、ユコスの終焉ってことだね。このときがついに来てしまったの。この競売を何とか潰す以外にユコスが生き残る道はなかった。そして、それはうまく行かなかった。

ユコスの生産量の6割を占めるユガンスクネフチガスを失った今、ユコスが出来ることは何もないと言っていいと思う。
プーチンがやろうとしていたことは成功したんだ。呆れるばかり。

さよなら、ユコス。そしてホドルコフスキー。でも、大丈夫、ミハイル! あなたは、もっと酷いことを乗り越えてきたし、もっともっと酷いことをいろんないろんないろんな人たちに対してやってきたんだから!

こういうときにふさわしいのは、スパイス・ガールズの"Goodbye"だね。
"The times when we would play about, the way we used to scream and shout, we never dreamt you'd go your own sweet way." "Goodbye my friend. I know you're gone, you said you're gone, but I can still feel you here. It's not the end. Gotta keep it strong before the pain turns into fear."

そう、ローンズ・フォー・シェアズで大騒ぎした日々がセピア色に輝いているよ。ダボスの7人組のことも、エリツィンのことも皆覚えてる。プーチンの登場でこんなことになるとは思ってもみなかった。さよなら、ホドルコフスキー。もう刑務所の中なんだね。ニュースでもそう言っていた。でも、私は、あなたが今も外を走り回って、更なる悪事をたくらんでるって感じることがあるの。これで終わりじゃないよね。元気でね。大丈夫、怖がることなんか何もないさ。

というわけで、一つの時代の終わり。
一つの時代の終わりというのは、いつだって寂しいものだね。

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